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アドバイザーは啼かされる運命

Penulis: 天岸あおい
last update Terakhir Diperbarui: 2025-04-13 11:01:47

◇◇◇

こうして俺はケイロたちのアドバイザー的なものになった。

学校を終えてから百谷家に寄って、リビングでこの世界をレクチャーする。

俺の隣で聞いているケイロは、軽く目を閉じて腕を組んで、一見すると興味がなさそうだった。でも時折頷いているから、聴いてはいるらしい。

あんまり身が入っていなさそうなケイロと違い、アシュナムさんは前のめりで俺のレクチャーを聴いてくれた。しきりにメモしながら、どんどん質問してきた。

「この世界のことは、我らの世界からネットというものに繋がって調べていたのですが……我々が不自然になっていたということは、ネットの情報は間違っているのでしょうか?」

「ネットで検索して、上のほうに出てくる情報って、それだけいっぱい人に見られてるけど、それが一般的って思わないほうがいいです」

「多くの人に支持されていても、一般的ではない、と?」

「お弁当ひとつ取っても、可愛いのとか豪華なのとか目を引くけど、いつもそうとは限らないし、大半の人はわざわざ作ったお弁当の写真を撮ってネットに載せませんから」

「な、なるほど……っ」

「それに、みんな当たり前のことはわざわざ調べないし、ネットに上げてもスルーされますから。昨日の残りもの詰めたり、手っ取り早く野菜炒めで済ませたりなんて日常のよくあることよりも、特別で華やかなものを見てもらいたいものですから」

「つまり、この世界の弁当は可愛い容器や袋に入っていて、愛らしいキャラの形を作ったものが一般的ではないのですね……」

「主にちっちゃい子用のお弁当です。男子高生には足りません! 人によりけりですが、見栄えよりも量が正義です! 鶏の唐揚げ弁当は鉄板ですが、毎日同じだとげんなりしますので、おかずは栄養を考えて変えて下さい」

ついお弁当のレクチャーに力を入れていると、

「夫のために食を気遣う……なかなか良妻ではないか」

ボソッとケイロが本気なのか冗談なのか分からないことを言ってくる。

何も反応しないの
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    サァァッ、と血の気が引いて駆け寄ろうとした俺を、ケイロが手を上げて制止する。特に大火傷も焦げ付きもないと分かって、心底ホッとしながら俺は声をかけた。「わ、悪い……大、丈夫だったか?」「これぐらいは想定の範囲内だ。問題はないが、雑念は捨ててパスに集中しろ」雑念はお前のせいだからな!? と一度心の中で叫んでから、俺は深呼吸をして気持ちを落ち着ける。いくら俺を振り回すアイツに腹が立つにしても、ジュッと燃やしてケガなんてさせたくない。魔法であっても火を扱うなら慎重に、というのは世界が違っても同じなのだろう。「次行くぞ。しっかり取れ」ケイロからパスが飛んでくる。やはり火の揺らめきが迫ってくるとドキッとするが、俺は逃げたくなるのを堪えてボールを取る。一瞬、手の平に熱を覚えたが、ストーブに手をかざした時くらいの温度。まったく怖くないと分かってからは、今までと変わらない調子でパスの応酬をすることができた。◇◇◇ケイロとのバスケを切り上げて部活へ向かった後も、俺は野球でサードを守りながら練習していた。練習試合で俺の所にボールが来たら、すかさず取ってファーストに投げ渡す。その瞬間に火を灯して魔法の自主練もしてしまう。こっちの人間相手に少し火を点ける程度ならほぼ影響ないみたいだし、火傷の心配はない。普通にボールが体に当たるのとなんら変わらないから安心だ。野球の球に火が点いて飛んでいく光景は、どんな野球少年でも夢見るような魔球そのもの。俺しか分からないのが残念だなあと思っていたら――。――ファーストを守っていた悠が、身を縮めてボールを避けた。「……悠?」まさか、火が見えてる?この火を見られるのは、ケイロたちと同じ世界の住人か、俺みたいに結婚させられてあっちの住人にされてしまったヤツだ。悠とは子供の頃からの付き合いだから、あっちから来た人間じゃないとは思う。でも、俺みたいにあっちの人間にさせら

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    頬を引きつらせながら睨む俺に、ケイロは口先でも謝ることなく話を進めてくる。「まずはボールを持ってパスの構えを取れ」「こ、こうか?」「そのまま投げる動作をする際に、ボールを強く意識しながら『火の精霊よ、共に駆けろ』と口で命じれば火をまとう」「……それだけでいいのか?」「ああ。これでボールが相手に渡る瞬間に火が消える」なるほど、じゃあさっきのボールも俺が完全に取っていたら火は消えていたのか。事情が分かれば安心して取れる。でも、手元が狂ったって言ってたよな?他にも何かある気がして、俺はケイロの顔をうかがう。「やればすぐできそうなんだけど……注意点とかあるか?」「思考が乱れると火の精霊が混乱して、内容にブレが生じる。だから投げることに集中する必要があるな」「……さっき俺にパスした時、百谷は何か考え事でもしてたのか? 手元が狂ったなんて言ってたの、気になったんだけど……」「図書室のことを思い出して、今晩は大智をどう啼かせようかと考えていた」まさかのむっつり発言に、ブハッ、と俺は吹き出してしまった。「考えるなぁ……っ! あと明日に響くから、今日はやめろ。頼む、マジで。一試合も保たずにスタミナ切れ起こしそうだから!」どれだけ俺とヤりたいんだよ!?コイツ、本当に顔と中身にギャップあるな。むっつりエロ魔人め……。一回が長いし、始まったら一回で済まないから寝るの遅くなるし、体力がっつり使い果たしちまうから寝ても全回復できねぇ。だから体育の授業が午前中にあったら、いつもよりバテるのが早い。そんな状態で球技大会に出たら、初戦の途中でバテて無様な姿を晒すことになっちまう。俺の切実な訴えに対して、ケイロが不敵に笑う。「却下する、と言いたいところだが、校内の行事でも負けるのは嫌だからな。明日

  • 寄るな、触れるな、隣のファンタジア~変人上等!? 巻き込み婚~   まさかの火の玉特訓!?

    ◇◇◇体育館に行くと、ケイロは自分から進んでバスケットボールを取りに行き、ゴール下で軽くドリブルをし始めた。「太智、肩慣らしにパスの練習に付き合え。可能なら俺の真似をしろ」「……? ああ、いいぞ。さあボールくれよ」自分を真似しろだなんて、随分と自信あるんだな。やけにケイロの鼻高な言動が引っかかったが、俺は何も考えずに胸元で両手を構える。ビュッ、とケイロからボールが素早く投げられる。――間近に迫るボールの周りに、火の揺らめきが見えた。「なぁ……っ!?」思わず俺は身を翻してボールを避ける。ダン、ダダン……と体育館の端にボールが跳ねていく。追いかけて拾おうとすれば、まだ薄っすらと火が点いていて、俺は慌ててドリブルしまくって鎮火した。「こぉぉぉら! 百谷ぁ……っ!!」元に戻ったボールを抱えて、俺はケイロの元まで疾走して迫る。感情任せに怒鳴りたいところだが、どうにか小声に抑えつつ全力で訴える。「お前なぁ……火の魔法を使うなよっ! 他のヤツらはともかく、俺は火傷しちゃうだろ!」「すまない、手元が狂った。太智に届く手前で火が消えるはずだったんだが……まあこれで分かっただろう。さあ、お前も同じようにやってみてくれ」至極当然といった様子で、ケイロがさらっと信じられないことを言ってくる。思わず俺は拳を握って震わせた。「ついさっき初めて精霊出せた人間にやらせようとするな!」「……? 俺はそうやって叩き込まれたんだが」それはもう不思議そうな顔で、ケイロが首を傾げる。皮肉でも自慢でもない、本心からの言葉。いきなり王族の裏事情が垣間見えて、俺は思わず押し黙ってしまう。スゲー呑み込みの早い天才肌だと思ってたけれど、実はそうならないといけない状況に迫られ

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